大わらんじの男―八代将軍・徳川吉宗〈2〉 (文春文庫)



大わらんじの男―八代将軍・徳川吉宗〈2〉 (文春文庫)
大わらんじの男―八代将軍・徳川吉宗〈2〉 (文春文庫)

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数ある「吉宗もの」の中でも随一の大著。津本陽氏は登場人物の台詞にこだわる作家として知られる。「下天は夢か」で信長に名古屋弁をしゃべらせたようにここでは吉宗に和歌山弁を喋らせている。(「八代将軍吉宗」でジェームス三木が適当な関西弁でお茶を濁していたのに比べればこっちは本格的。日本文学では有吉佐和子の「紀ノ川」以来の快挙だが、300年前の言葉と今の物が果たして同じなのかという疑問は残る。昔の口語というのは興味深い点だ。作中の吉宗は現在和歌山の田舎農家の老人が喋るような和歌山弁を使うが、当時は身分制もあり武家言葉と町人言葉、百姓言葉で随分違ったはずだ。御三家の子息が本当に地方言葉を喋ったのか。もっともこれが作中の吉宗の野放図な魅力につながっていることは確かだ。質量共に第一級の時代小説といえる。



文藝春秋




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